聞こえについて

耳鳴りは難聴のサイン?難聴に関する知識やその検査・治療法とは

耳鳴りは難聴のサイン?難聴に関する知識やその検査・治療法とは

誰にでも経験のある「耳鳴り」ですが、頻発したら難聴を疑わなければなりません。ここでは、難聴の程度の違い、検査や治療の可否についてご紹介します。


そもそも耳鳴りとは? 

周りに何もないはずなのに、聞こえるはずのない音が耳の中で聞こえる症状が耳鳴りです。耳鳴りには金属音に似た「キーン」という高音のものと、「ボー」という低音のものとがあります。耳鳴りは誰にでも起こりうる症状のひとつで、健康な人に現れることもあります。ただ高齢になるにつれ、耳鳴りの症状で苦しむ頻度が高くなる傾向にあります。

耳鳴りには大きく分けて、「自覚的耳鳴」と「他覚的耳鳴」のふたつのタイプがあり、前者は内耳の「蝸牛(かぎゅう)」と言われる器官や神経の障害が原因となって聞こえるものです。一方、後者は耳の周りの血流の異常によって起きたり、耳の周りの筋肉収縮の異常によって聞こえてくるものです。

 

耳鳴りは難聴のサイン? 

耳鳴りは、大抵の場合が難聴のサインであることが多いです。難聴の症状がなくても起こる耳鳴りは「無難聴性耳鳴」と呼ばれますが、多くの場合は「難聴を伴う耳鳴り」に相当すると言われています。なお、「無難聴性耳鳴」の場合は、検査をしても原因が分からず、一部の医師によれば、音を感知する「有毛細胞」が検査では分からない程度にダメージを受けているからではないかとされています。

一方、「難聴を伴う耳鳴り」が起こる原因は、聞こえる力が低下することで、脳に音の情報が届かなくなるため、脳が音を聞き取るために感度を上げようとして引き起こされます。耳鳴りが頻発するようであれば、難聴以外の病気の可能性も否めないため、早めに耳鼻咽喉科に行くことがすすめられます。

 

耳鳴りのさまざまな原因とは? 

耳鳴りを引き起こす原因には、加齢、騒音、ストレス、薬によるもの、突発性難聴、メニエール病などが挙げられます。

<加齢> 

65歳以上になると聞こえる力が低下していくことで、加齢難聴が発症しやすくなります。このうち30%ほどの人が耳鳴りの症状に悩まされています。

<ストレス> 

精神的なストレスや、睡眠不足などによるストレスから耳鳴りの症状を発症するケースが見られます。ストレスは、耳鳴りなどを伴う「突発性難聴」を発症させる引き金であることが多いとも言われています。

<騒音> 

街の騒音に1日8時間以上さらされることによって、難聴を発症しやすくなり、耳鳴りを引き起こすことになります。特に、工事現場で働く人や、音楽を大音量で聞くイベントなどでは注意が必要です。

<薬> 

抗生物質や抗がん剤の投与によって、難聴や耳鳴りを引き起こすことがあります。ただ、日常的に処方される薬では、耳鳴りを引き起こすことは滅多にありません。

<メニエール病> 

強いめまいや難聴、耳閉感、耳鳴りを伴う難病。

これ以外にも耳鳴りの原因となるものがありますが、難聴を伴うケースがほとんどであるため、症状が現れたら医師に相談することが先決です。

 

4ステージでみる難聴の症状 

これまでに、耳鳴りは難聴のサインであることが分かりました。ここでは、難聴の程度について見てみましょう。

難聴といっても人によって聞こえ方に違いがあり、その程度は軽度から重度にかけて4つに分けることができます。つまり、「どれくらい聞こえないか」によるグループ分けが聴力の度合いによってなされており、軽度の場合は雑音の中で相手の言っていることが聞こえづらくなる程度ですが、重度になれば車のクラクションすら聞こえなくなってしまうといった目安を知ることができます。

<軽度のケース> 

木の葉が風で揺れる音(20dB)は聞こえないが、ささやき声(30dB)や小雨の音(40dB)は聞こえる。

<中度のケース> 

日常会話、掃除機の音、車の近づく音(共に60dB)が聞こえにくい。

<高度のケース> 

ピアノの音や交差点の音(共に80dB)など、かなり大きな音も聞こえない。携帯用防犯ブザー(90dB)の音も聞こえにくくなる。

<重度のケース> 

車のクラクション(110dB)、飛行機のエンジン(120dB)なども聞こえなくなる。


聴力が正常かどうかは、木の葉が風で揺れる音(20dB)が聞こえるかどうかが境目となります。

 

難聴の検査について知ろう 

難聴かどうかを判断するには、耳鼻咽喉科で検査をする必要があります。まずは、難聴の度合いを知るために「標準純音聴力検査」が行なわれ、さらに耳のどの部位に障害が起きているのか、難聴の原因を知るために「自記聴力検査」「SISI検査」「語音聴力検査」を行います。また、乳幼児や知的障害者向けの「聴性脳幹反応検査(ABR)」などもあります。

<標準純音聴力検査>

両耳をヘッドホンで覆い、左右の耳それぞれの7種類の高さの音の聞こえ方を検査する。どの音がその人にとって最も小さい音かを調べることで、難聴の程度を軽度から重度の4段階で審査する。また、骨導の検査では、骨導受話器を耳の後ろにあてることで、内耳の「蝸牛」や聴神経への障害の有無を確認できる。

<自記聴力検査>

感音難聴が内耳の蝸牛で起きている(内耳性難聴)のか、聴神経で起きているのかを判断するためのもの。検査ではヘッドホンを耳にあて、音が聞こえている間はボタンを押し続ける。

<SISI検査>

内耳性難聴かどうかを調べるもの。ヘッドホンを耳にあて、一定間隔で10回流れる音が大きくなったらボタンを押すもの。何回気付いたかによって割合が算出され、内耳性難聴の場合は100%に近づく傾向がある。

<語音聴力検査>

会話で使われる語音の大きさを変えながら、どのくらい正しく聞こえるかを検査する。伝音難聴であれば、音が強ければほとんど聞こえるが、感音難聴の場合は聞こえないものも出てくる傾向が。

<聴性脳幹反応検査(ABR)>

音に反応する脳波を記録することによって実現する聴力検査。乳幼児や障害者を対象に、普通の検査が行なえない時などに使用される。難聴の度合いや障害を受けている部位が分かる。

 

難聴のタイプ別に見る、治療の可否 

難聴には、大きく分けて<伝音難聴><感音難聴><混合性難聴>の3タイプがあります。ここでは、タイプ別に治療法や完治の有無について紹介します。

 

<伝音難聴>

外耳・中耳に原因があるもの。外耳道炎など、薬物投与で改善することが多く、ほかの原因(滲出性中耳炎や耳硬化症)によっては手術で改善することも可能。それでも治療ができないケースもあり、その場合は補聴器をつけることで生活上の不便を回避することができる。

<感音難聴>

内耳・聴神経・脳に原因があるもの。突発性難聴であれば初期の薬物治療で改善するケースもあるが、加齢性難聴の場合は補聴器で生活することになる。また重度になると、人工内耳手術を施すことも起こりえます。

<混合性難聴>

上記ふたつが合併した症状であるため、どちらの症状が強いかによって薬物投与が有効に働く場合もある。しかし、感音難聴の症状が強い場合は補聴器に頼らざるを得ない。

 

難聴の治療が一般的に困難とされている理由に、内耳が小さすぎる器官であるため、精密検査ができないことにあります。ただ最近は、iPS細胞の技術を用いた内耳細胞の研究が進み、近い将来、新たな治療法が発見できる可能性もゼロではありません。また、症状が軽い場合は、ビタミンB群配合の薬や漢方薬を服用することで改善が見込まれるケースもあります。

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今回は耳鳴りや、耳鳴りの起こるメカニズムについて見てみました。耳鳴りと難聴はたいていの場合関係していることが多く、早期の治療が大切です。症状に気づいたら早急に耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。