聞こえについて

現代人に増えている難聴とその原因、対処法とは?

現代人に増えている難聴とその原因、対処法とは?

 昨今、難聴はあらゆる年代の人にとってより身近な問題となってきています。ここでは、難聴の原因や「イヤホン難聴」、そしてこれらの症状に補聴器が有効なのかどうかについて見てみましょう。


難聴の原因とは?

 現在までに難聴の原因とされているものは加齢、騒音、ストレス、薬によるもの、感染症などが挙げられます。耳の構造は、外側の耳介から鼓膜の前の外耳道に至る「外耳」、鼓膜や耳管を含む「中耳」、蝸牛(かぎゅう)や脳神経に至る「内耳」の3つに分かれており、これらのいずれかにダメージを受けることで難聴が発症します。特に内耳にある蝸牛の有毛細胞にダメージを受けると、補聴器で音を補ったとしても音の明瞭度は下がってしまいます。

 主な外耳へのダメージとしては、耳あかが大量に溜まったり、先天的な外耳道の奇形、鼓膜が傷つくことなどが挙げられます。中耳や内耳に影響を及ぼすものとしては、遺伝的なものや風疹などによるウィルスのほか、爆発音やコンサートなどの大音量にされされたことによるダメージ、騒音、加齢によるものがあります。

 また、ストレスが原因で起こる難聴は「突発性難聴」と言われており、年齢に関係なく起きる可能性があります。さらに、最近の難聴の傾向としてイヤホンによる耳への負担が増えており、これはイヤホンをつけて長時間スマホの音楽や映像を大音量で聞いていることが関係しています。このため、WHOでは世界の若年層の約半数にその危険があると警鐘を鳴らしています。


ストレスで発症しやすくなる突発性難聴とは?

<発症しやすい年齢は?>

 40代〜60代に多いと言われていますが、10〜20代の若者や働き盛りの年代にも発症することがあります。若いからといって過信せず、症状が見られたらすぐに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

<どんな症状が起きる?>

 突然片耳が聞こえなくなり、ひどくなると耳閉感(耳が詰まった感じ)、耳鳴り、めまいや吐き気を伴うこともあります。その後症状が悪化するようであれば、早急に耳鼻咽喉科を受診することが必要です。発症してから48時間以内に治療を始めることで、症状が改善しやすくなります。


<直接的な原因とは?>

 音は鼓膜が振動することでその奥にある耳小骨から内耳、聴神経へと伝えられますが、そこに何らかのダメージが生じることで突発性難聴が引き起こされます。ウィルス感染や内耳の循環障害が原因とされていますが、ストレスや疲れを感じている時に発症する傾向が高いことが報告されています。


<治療法は?>

 耳鼻咽喉科で受診する時は聴力検査などが行なわれます。また、聴神経腫瘍など他の病気を疑い、頭部MRI検査が行なわれることもあります。

 安静にし、ステロイド薬を投与する医学的治療など、様々な治療法を組み合わせた治療がなされることが多いですが、後遺症が残る可能性もあります。あくまでも発症後の早期治療が肝心です。

 一方、再発の可能性はほとんどないため、同じような症状が再び起きたら他の病気の可能性があります。


イヤホンによる難聴とは?

 一般的に、衝撃音や工事現場の音、コンサート会場の音などで大きな音にさらされて引き起こされる難聴を「騒音性難聴」と呼びます。「スマホ難聴」と呼ばれることもありますが、イヤホンによる難聴もこのひとつで、現代人に多い傾向として注意が促されています。

<イヤホンの長時間利用と難聴の関係>

 人の耳は、車の騒音などに1日8時間以上、長期間さらされることによって難聴を発症する可能性があります。そのため、イヤホンから直接耳の中に入った音も、内耳の蝸牛にある「有毛細胞」を傷つけることで、音を感じ取る機能を損なうことになります。

 WHOでは、車の騒音に相当する音(イヤホンから音漏れがするほどの音の大きさ)を1週間あたり40時間聞き続けることで難聴の危険があるとしています。

<イヤホンを長時間使うことによる弊害>

 イヤホンを長時間つけていると、耳の中に湿気がたまり、カビが繁殖してしまったり、耳の穴がこすれて湿疹ができたりする場合があります。それにより、耳の中に分泌物が詰まり、進行すると鼓膜の奥の神経が細菌でダメージを受け、聴力が低下してしまう事もあるので注意が必要です。


<イヤホン難聴の治療法は?>

 内耳にある有毛細胞がダメージを受けていなければ、耳を安静にすることで聞こえを回復させることができます。これには、騒音下で耳栓を使ったり、定期的に音を聞かずに耳を休ませたりすることが有効です。また、大音量によって突然耳が聞こえなくなるケースでは、薬物による治療が行なわれます。


<イヤホン難聴の予防法>

 世界保健機構(WHO)が実際にすすめているイヤホンによる難聴の予防法もあります。これは、イヤホンを使う時には音量を下げ、適度に耳を休ませる時間をもつことや、イヤホンの使用時間を1日1時間未満に抑えることなどが挙げられます。

 一般的に、イヤホンの音量で安全とされる目安は、最大音量の60%以下とされています。また、どうしてもイヤホンを使用するのであれば、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを使うことで、騒音下でも音量を上げる必要がなくなり、快適に音楽を楽しむことができるでしょう。


突発性難聴やイヤホン難聴に補聴器は有効?

 突発性難聴やイヤホン難聴で薬物治療が可能なケースもありますが、そうでない場合や治療が遅れた場合は改善が難しいため、耳鼻咽喉科の医師と相談のうえ、補聴器をつけることがすすめられます。


<突発性難聴の補聴器選びのコツ>

 片耳が聞こえにくくなる症状であるため、聞こえが悪くなった片耳周辺の音を、もう片方の耳に送ってまとめて聞くことができる「クロス補聴器」が役立ちます。片耳ですべての音を聞くため、どちらの方向から入って来た音なのかの分別が難しくなりますが、日常会話や外出時の危険などから身を守るのに大変有効です。

 ただ、クロス補聴器は普通の補聴器を試しても効果が感じられない場合の手段ですので、まずは普通の補聴器をフィッティングして様子を見てみましょう。


<イヤホン難聴の補聴器選びのコツ>

 イヤホン難聴のケースでは、音を大きくしないと聞こえない一方、大きすぎても不快感を覚えます。そのため、出力制限のできる補聴器を選ぶことが大切です。特に、音の大きさを3つに分類して適度な音を届けてくれる「ノンリニア補聴器」がおすすめです。同時に、ノイズキャンセル機能のついた補聴器であれば、雑音の中でも音量を上げずに済むため、耳への負担を軽減することができます。

 

まとめ

ここでは難聴の起こるメカニズムに加え、突発性難聴やイヤホン難聴について見てみました。難聴になってしまう前に、日常生活の中で今からでもできることを実践し、耳をいたわってあげることが大切です。